私は以前居た地で、料理を教えさせて頂いていた身でございます。煮物など、作り過ぎてしまうため、近所に御裾分けしていたことがきっかけで始まりました。
その経験から、今の奥様の多くは、何故料理が不得意なのか…という疑問が昔からありました。そこで料理が不得意な奥様たちに共通点があることに気づきました。
それは「母親が料理が不得意」ということです。それは自称料理が不得意な奥様たちに聞くとほぼ100%の確率で、その返事が返ってきます。しかし、何故母親が料理が不得意なだけで、子供にまで受け継がれてしまうのか…そこを考えてみました。
まず、料理を教えていて、気付いたことが2点あります。一点は、基本がどうこうの話ではなく、料理を選ぶ最初の時点で戸惑ってしまう様なのです。いわゆる「レパートリー」が思い浮かばないということです。もう一点は「味見」が出来ないということです。これらは、母親がどれだけのものを子供のために作っていたか、ということから推測することが出来ます。
私はいつも母親から作ってもらった美味しい数々の定番料理を思い出し、味見をし、再現しようと努力をします。しかし、母親から作ってもらった記憶がない人は「惣菜売り場」の日替わりのお惣菜や冷凍食品を出されていたため、母親の味が確定できず、思い出せないのです。しかも、お惣菜や冷凍食品の味は、食品添加物がたくさん入っており、素人の持っている調味料では、なかなかその味は出せません。
ですから、基本が出来る訳もなく、何を入れたら、どのような味になって…といったような判断ができません。料理の本を見てもうまく出来ないという人は、本当に自信をなくしてしまうようなのです。
母親が料理が不得意なのは何故でしょう。昔は、惣菜売り場など、余りありませんでした。スーパー、コンビニが出来てから、急展開していったように思います。親の親(祖母)の時代ではそのようなものに頼らなくても、いい時代でした。
現在日本では、サラリーマン家庭が増え、核家族化し、核家族の中でも女性(母親)が、社会進出し、家族が個別化している時代です。その中で惣菜というものは発展し、主婦たちを助けてきました。昔は大家族で畑仕事などがあり、電気調理器がない為、専業主婦というものが成り立ち、姑から料理を受け継ぎ上達していく、といった時間もありました。しかしそれが今はありません。
アメリカでは、惣菜は当たり前で、野菜さえカットして売ってあります。アメリカに住む友人の話ですが、「ママ手作りです。」と言われ出されたシチューのミートボールは冷凍食品だというのです。幼稚園のお弁当も、手作りは少なく、買ってきたサンドイッチやファーストフードを持たせるそうです。話を聞いた瞬間、私には日本の将来が見えました。
自分の時間を有効に使うアメリカの方針は個人的には大好きです。子供にも自立を求め教育していきます。しかし、料理は別物だと私は考えています。アメリカのように、日本も社会が発展したら、日本料理を作れる人がどんどん減っていってしまうような気がして、とても悲しくなります。
料理は、人を幸せにします。飽きの来ない愛情のこもっている料理は、家族を集めてくれます。私の実家は自営業だったため、家族が揃って、一緒にご飯を食べたことがありません。しかし、毎日手作りのご飯は一番のコミュニケーションとなり会話が弾みます。お弁当の空き箱を返すときも「美味しかった」と、照れもなく自然に言葉が出てきました。
旦那さんが、毎日のように寄り道をして帰ってくる…なんてことはありませんか?外食よりも美味しい手作り料理とおつまみを作って待っていてはどうでしょう。