私には、血の繋がった、近い存在の人に犯罪者がいます。それは父親の兄、叔父さんにあたる人です。私の心に残っている出来事等は、普通では考えられないことばかりです。私は、昔から母親に「人に迷惑をかけてはいけない。」と硬く言われ続けていました。幼い頃の私は、母親の言葉を、単に「わがままはいけない」とだけで解釈していましたが、今になってその叔父さんの行動と結びつく、深い意味があることに気が付きました。そしてこの出来事を書くのは今だと思い、しまっておいた記憶を引き出し、私の経験など、すべてを書きたいと思います。
私の叔父さんは、いわゆる「覚せい剤」に手を出した「麻薬常習犯」です。私の記憶だと3回以上は、警察のお世話になっています。地方のテレビニュースでは「麻薬取締法違反」で大きく、叔父さんの顔が映ります。彼はというと、3年に一度くらいの割合で戻ってきます。警察に覚せい剤が見つかるまでは家にいて、服役中はいなくなる…というパターンでした。彼の性格はというと、仕事は長続きはしないものの、頭が良く、面倒見が良くて友達もたくさんいて、人が良い…といった自由な人でした。しかし、覚せい剤をやっている時の叔父さんは、人が変わってしまい、私の家族もたくさんの出来事に巻き込まれます。そして、私もたくさんの出来事を目の当たりにしてしまうのです。
お金をお店のレジから勝手に出して行き、母親がレジを守ろうとすると、殴って無理やり取っていく…。挙句の果てには、小学生の私にも、お金を借りに来る…。家のタンスには、母親が公正させようと隠しておいた注射器がゴロゴロ出てくる…。暴力団やヤクザとも交流があり、私の家はいつも怖い人たちが訪問する状態…。部屋を覗くと、花札や入れ墨を彫る作業などが繰り広げられている…。警察も何回も私の家の周りを巡回する…。そしてなによりも印象的な出来事は、麻薬や覚せい剤をやっている人を見ることでした…。優しかった叔父さんの目が虚ろになり、温厚だった性格も凶変する。落ち着きが無くなり、体臭も何か変な匂いがする。訪問者達も同じ匂いがし、同じ目をしていました。
このような出来事が、当時、小学校低学年〜高校生の間、私の周りに起きていました。確かに、今思えば、普通の家庭ではないような気がします。しかし、当時はそれが当たり前で、私には普通だったのです。普通だったというよりも、当時の私は、それを受け入れざるを得なかったのです。
そして、大人になって自分の気持ちを上手く表現できるようになってからの私は、大切な人ができると、彼の存在を隠すようになりました。体裁や恥ずかしいという、彼に対する感情よりも、その環境で育った自分が、変な目で見られるのが苦痛になったからでした。実際に今、夫には話せても、あちらの両親にはお話することが出来ずにいます。きっとこれを話したら、離婚は間違いないでしょう。話によると、私の姉も、叔父さんの存在が婚約者に解ってしまい、話が進まなかったということもあったそうです。
「人に迷惑をかける」という言葉かありますが、私は本当の意味を知っています。本当に迷惑をかけると言うのは、その人の人生をも変えてしまうようなことを、自分本位で行動してしまっている人だと思います。
今の彼はというと、母親が払い続けていた年金のお陰で、生活保護を受けることができ、様々な病を患いながら、独り孤独に老後を迎えているようです。
私は、彼の存在を否定しようとは思いません。しかし私は、どんな形であれ絶対に「人の迷惑」になる大人にはなりたくないのです。一人でも私のようなトラウマを持つ子供が育たないように…。