必要な時間と言葉。

性格って変わらないって、人は言うじゃん。
人間、そんなに直ぐに変わらないって、人は言うじゃん。
だけど、

イジメられっ子で、人の目ばかり気にしていた人が、周りなど気にせずに行動できたり、
デブでブスのいじめられっ子が、写真とか鏡とかが大好きになったり、
意気地なしのいじめられっ子が、勝気で前向きになったり、
…私のこの時間の変化はなんだろう。

そして、

子供が大好きで、子供が授からないと言われ苦しみ、女ではなくなった事を悔やみ、いっそのこと死んでしまおうかと思っていた女が、子供を授かったとたん、子供…ましてや自分の子供を可愛いと思えなくなったり、邪魔だと思ったり、居なくなればいいと思ったり、
…私のこの時間の変化はなんだろう。




いつからかな?子供がいらないって思ったのは。
やっぱり「作家になりたい」って夢ができてからかな?
それはまるで、今までの真っ暗の目先が、一瞬にして輝き、一本の長い道が見えたようだった。今までのずっしりとした心の重みが、一瞬にして軽くなった。


子供を堕ろすことに反対されながら、「多分、産んだら子供が可愛いと思うだろう。」という妊娠中の考えは、あまりにも浅はかで。
妊娠中にも、出産前にも、子持ちの主婦というコンプレックスを感じていた私は、誰からの助けも要らないと、熊本で1人で産むと安易ながらも実家に伝え。
出産後、仕事で忙しい夫にも頼らず、1人で出来るものだ、と。1人で育ててみせる、と。私の事はほおっておいてくれ、と。子供がいても夢を追ってみせる、と。夢&育児&家事をやってみせる、と。…そんな意地で子育てをしていたら…



私は、我が子を愛せなくなっていた。





私は変態なのかな。
私はおかしいのかな。

そんなことを心に抱きながら、私は縋る思いで、実家に向かった。
8ヶ月にして初めて親に我が子を見せる。
当然友達とも会う。あまり子供を見せたくない願望が働き、殆どを親に子供を預けて、友人達と出会った。

親友たちと会話が弾む。
何故か、自ら好んで、母親達を集合させてしまう。
話を聞いてもらいたかったのか。育児の情報が欲しかったのか?

しかし親友といえど、我が子を愛せないという事実を聞いたら、やっぱり変人扱いとかされるだろう。
実際に、家族にも夫にも、理解してもらえないことだった。
だからソフトに…
真剣にならずにいつもの私の調子で、ママになった親友と会話をしていく。


※  
ブルー…親友ママ  ピンク…まこちん

「まことー、なんで、今まで子供の写真とか送ってくれなかったの?ハガキとか写メとかで。しかもHPの方でも育児のことは触れていないみたいじゃん。HP見てるメグとか、おーちゃんとかも、心配してたんだよ。」
「んー?あー。実はあまり興味がないみたいなんだよね〜子供のこと。だから写真も滅多に撮らない。サイトのこと?だって私のHPだもん。子供の内容はいらない。」

「え?可愛いと思わないの?自分の子が一番って思わないの?」


ほら…、やっぱりビックリした。
でも、もう私はそのまま自分の心に偽りなくカミングアウトした。


「うん。ぶっちゃけね。」

「ちょっと育児、頑張りすぎたんじゃない?ストレス溜まってるんだよ。だから愛せないんだよ。」


よく言われるセリフだった。育児だけじゃない。私はいつもそんなことを人から言われる。本当に別に頑張ってないのに。皆に比べたらどーってことない頑張りだから。


「それはないよ。私、相変わらず適当だからなぁ。そんな頑張ってないよ。子供なんて殆ど放置だもんっ。ストレスなんて今まで感じた事ないよ。」

「あのね、我が子のことを可愛くないって思える自体が異常なんだから…それがストレス溜めてる証拠なの。」


・・・。


「そうかなぁ?」

「そうだよ。…ねぇ、まこと、、、?」

「ん?」






「8ヶ月間、1人でよく頑張ったね。」






私を家に送ってもらう最中の親友の車の中。
声のトーンを変えて、さりげなさを装い、親友が口にした。

私の腕には、車の振動に心地よく娘が寝息をたてている。
その言葉をもらってからすぐに、窓の外を見上げ、



私は、涙を必死にこらえた。





私は、頑張っていたのか?


今まで…「頑張りすぎなんじゃない?」などの、その人の推測で心配し言われることは多々あった。
そして落ち込んでいたら「頑張ろう。」という心配ながらも他人事だから言える言葉もたくさん貰ったし、私もたくさんの人にあげてきた。

しかし、「頑張ったね。」と断言されたことは一度もなかった。
認められたことは一度もなかった。


親友のそのたった一言で、今までの緊張が解けたようだった。
今までの気の張りが解けて…涙腺も溶けた。


育児は、人から「よく頑張った。」などと言われることが少ない。否、もしかしたら一生、言われないのかもしれない。それは、母親にとって育児は当たり前のことで、一般常識なのだから…。



ん?待てよ…
もしかしたらこれは…
この世界中に生きている人たちすべてに…
もっとも必要な言葉なのかもしれない。


当たり前の様に、勉強をしている学生も、
当たり前の様に、街でうろつくフリーターも、
当たり前の様に、仕事しているサラリーマンも、
当たり前の様に、家事をしている主婦も、
当たり前の様に、毎日を繰り返し過ごしている『あなた』も、

…自分で頑張っていることすら気付かないくらいの猛スピードで、時間が流れているのかもしれない。


だからあなたも…
誰からも認められることなく、自分でも認めることなく…
当たり前の様に生活していても…
たった1人で頑張っているのかもしれないんだよ。


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イジメられっ子で、人の目ばかり気にしていた人が、周りなど気にせずに行動できたり、
デブでブスのいじめられっ子が、写真とか鏡とかが大好きになったり、
意気地なしのいじめられっ子が、勝気で前向きになったり、

したのは、頑張ったからです。

そして、

子供が大好きで、子供が授からないと言われ苦しみ、女ではなくなった事を悔やみ、いっそのこと死んでしまおうかと思っていた女が、子供を授かったとたん、子供…ましてや自分の子供を可愛いと思えなくなったり、邪魔だと思ったり、居なくなればいいと思ったり、
したのも、頑張ったからです。


そう、頑張ったからこそ、今の私があるわけです。

でも、たまには自分で気付かないといけないわけで、
それに気付くきっかけと、そんなきっかけを作る時間もないといけないわけで、
忙しい時間、頑張りすぎた時間、それ等を自ら見直すにも、時間が必要なわけで、

それが出来ないと、自分、ましてや、人なんて愛せないわけで…。



こんな思想と、今までの自分を振り返りながら、己自身を気付かせてくれたこの旅行…ゆっくりとした時間が流れた一時のお陰で私は…。



隣でスヤスヤ寝ている子供が可愛く思えて仕方がないわけです。








この殴り書きを読んで、友達、両親、兄弟、子供、恋人、夫、妻、…あなたが、あなたに関わる全ての人たちに「よく頑張った。」と断言し認めてあげられるような…
そしてその言葉が、いづれあなたの所に返って来るような…。
そんなことを思案し考える時間と、心の余裕をあなたに与えられることを願い、このテキストを終えたいと思います。

2004.12.15 am4:30 



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